トルコきってのリゾート地である地中海沿岸からさらに東へ入ると、ユーフラテス川とティグリス川流域が広がっている。シリア国境も近いだけあって、この地方のアラブ色の濃さは町のバザールに行けばすぐに感じ取ることができるだろう。トルコ語よりもアラビア語やクルド語のほうが話されている町も多くある。南東部アナトリアはトルコの中でも間違いなく最もエギゾティックな地方である。
歴史的にもこの地方は常に帝国間の国境ゾーンであった。パルティア人とローマ帝国を隔てていた国境もこの地域だったし、ビザンツ帝国は7・8世紀のアラブ軍の脅威に対してここに駐屯していた。アラブ軍、十字軍、セルジューク朝、モンゴル軍、フランス軍による占領など、中東で起こった重要な出来事の舞台となった。
ティグリス川のふもとにあるディヤルバクルは、しつこく付きまとう子供たちが気にならない人には面白い町に違いない。住民のほとんどはクルド人で、イスタンブルに上京して歌手になったディヤルバクル出身の人もかなりいる。ここから是非訪れたいのはマルディン。シリア平原を見渡す岩壁に地方特有の家々が連なっている。マルディンの東にあるトゥル・アビディン高原はトルコのシリア正教徒のホームタウンであり、修道院や教会が点在している。
ディヤルバクルからはセルジューク朝・アラブ・クルドの遺跡が混在しているハサンケイフへもアクセスできる。ハサンケイフはGAPプロジェクトの一部であるイリスダムの建設のため近い将来崩されることになっており、現在遺跡保護のために反対の声が上がっている。