ホテル、お土産店、レストランやカフェなどがカッパドキア地方で最も充実している町。1923年のトルコ・ギリシャ間の住民交換まで、ユルギュップの住民はほとんどがギリシャ人だった。町にはいまだにギリシャ風の美しい建物が改築されホテルや公共機関として使われている。洞窟ホテルのほとんどもユルギュップにある。
ユルギュップの旧市街には13世紀に建てられたケビル・ジャーミィがある。この付近には700メートルのトンネルがあり、トンネルを抜けるとユルギュップとその周辺が一望できるバルコニーがある。ここからさらに坂を上ると、以前隠遁者が住んでいた洞窟(現在は貯蔵庫)が見え、テメンニ(トルコ語で願いの意味)と呼ばれる公園がある。ここにはセルジューク朝時代のクルチュアスラン4世の霊廟(1268年建立)と現在カフェとなっているイスラーム修道院がある。
ユルギュップにはこの付近で発掘された先史時代のセラミックや装飾品などが展示されている博物館がある。展示品の説明はきちんと表示されていないが、その代わりに博物館の係りの人が丁寧に説明してくれる。
お土産店はジュムフリエット広場からカイセリ通りに並んでいる。掘り出し物のアンティークなどもイスタンブルに比べると案外見つけやすいかもしれない。またカッパドキア産ワインも試飲しながら選ぶことができる。
ムスタファパシャからソアンルまで
ユルギュップの南にあるムスタファパシャは以前シナソスと呼ばれるギリシャ人の村だった。周辺には教会などが点在し、かわいらしいギリシャ人の住宅を改装してできたホテルなどもある。
村の北側に位置するアイオス・ヴァシリオス教会を訪れるならまずツーリスト・インフォメーションでこの教会の鍵をもらわなければならない。この教会のフレスコ画の保存状態はよいが、顔は削られている。
ムスタファパシャからさらに南へ行くときのこ岩は次第にテーブルマウンテンに変わり、広大な風景が目の前に広がる。この付近には養魚場があり、カッパドキアのまん中でも魚を食べることができる。
ムスタファパシャの次の村はジェミル。この村は付近にあるケシュリック修道院で知られている。カッパドキアで一番古い修道院で、複合施設として3つの教会やワインプレス、食堂などがある。教会のなかでも聖ガブリエル教会には最後の晩餐、受胎告知、エジプトへの逃避などのフレスコ画があるが、どれもすすによる損傷がひどい。
聖ミカエル教会の地下にはワイン貯蔵庫がある一方、7世紀の聖ステファン教会の装飾は凝っていて、ほかの教会に比べて一番美しい。装飾のモチーフのなかには果物や葡萄を食べる孔雀などがあり、トルコのキリムのモチーフに似たものがある。
ジェミルから4キロ南のタシュクンパシャには14世紀のセルジューク朝モスク・タシュクンパシャ・ジャーミィがあり、その両側には六角形の墓がある。このモスクはもともとそのミフラーブ(説教台)とミンベル(メッカの方角を示すもの)で有名だったが、これらは現在アンカラにあり、代わりに写真のみが展示されている。また石彫りが美しいイスラーム修道院もこの村にある。
ソアンルの谷
ソアンルはユカルソアンルとアシャウソアンルの二つに分かれるかわいい村。この村への公共交通手段は皆無で、厳しい冬にはこの村への道までが通じなくなる。
ソアンルの谷付近はビザンツ時代から13世紀まで常に定住され続け、教会の建築スタイルや9・10世紀のフレスコ画の美しさは目を引くものがある。ソアンルはトルコ語で「たまねぎの」という意味だが、実際はsona kaldi(最後に残った)から派生していると思われる。6世紀のバッタル・ガーズィ率いるアラブ軍の侵攻の際、ソアンルはカッパドキア地方でアラブ軍が占領した最後の村だった。
ユカルソアンルに向かって右側の谷には多くの教会跡がある。2階建てのクッベリ・キリセ(ドームつきの教会)は、きのこ岩の先端をドームとして使っており面白い外観。クッベリ・キリセから約100メートルはなれたところにはサクル・キリセ(隠れた教会)があり、キリスト教使徒のフレスコ画がある。メルイェムアナ・キリセスィ(聖マリア教会)の装飾は聖像破壊運動時代のもの。ギョレメ野外博物館と同様、ソアンルにもユランル・キリセ(蛇の教会)があり、同じく聖ゲオルギウスの竜退治が描かれている。この教会はアルメニア語やギリシャ語の落書きによる損傷がひどいので、見学には懐中電灯を使ったほうがよい。そのほかにも10・11世紀のフレスコ画があるカラバシュ・キリセ(黒い頭の教会)がある。
聖ユースタスと鹿が描かれたゲイックリ・キリセ(鹿の教会)や10世紀初期のバーバラ・キリセ(バーバラ教会)などもソアンルの谷にある。