ウフララ渓谷(Ihlara Valley)

絶壁の間を流れる小川と緑・・・ウフララ渓谷は埃っぽいカッパドキア観光のなかでも安らぎのスポット。ウフララ渓谷の北端にはセリメ村、中間地点はベリスルマ村、南端にはウフララ村があり、渓谷の長さは約16キロ。ウフララ渓谷がツアーのスケジュールに入っている場合、ベリスルマ村とウフララ村の間にある入場口から約3,5キロの小川沿いの道を歩き、昼食をベリスルマでとることが多い。
ウフララ渓谷はかつてぺリストレマと呼ばれており、中世初期から14世紀まで定住が進んでいた。聖像破壊運動の前後も教会の装飾スタイルなどは一定しており、キリスト教界の大問題であった聖像破壊論争にあまり影響されなかったと思われる。教会内部のフレスコ画もオリエントとヨーロッパの影響が見られ、西洋のビザンツ・フレスコ画に似たものもあればアラブのローブを羽織った人物像もある。

アアチアルトゥ・キリセ(木下の教会)の中央ホールは崩れてしまっているが、内部にはキリストの生誕の際贈り物を捧げているマギ(ペルシア王国の祭司)や、ダニエルとライオンなどが描かれている。また中央ドームにはキリストの昇天のフレスコ画がある。また翼を持つグリフォン(上半身が鷹で下半身がライオンの伝説上の生物)がフリーズに使われるなど、サーサーン朝ペルシアの影響が覗える。
ピュレンリ・セキ・キリセにもキリストの生涯などをテーマにしたフレスコ画があるが、残念ながらかなり傷んでいる。コカル・キリセには三位一体やキリストの神聖を表す手が描かれている。
ウフララ渓谷の中で最も面白い教会はユランル・キリセ(蛇の教会)だろう。内部には罪人が地獄で苦しむ4人の女の姿が描かれている。そのうち一人は自分の子供に母乳を与えなかったため、蛇が乳首に噛み付いており、また2番目の女は8匹の蛇に覆われている。残り二人は人々を中傷し、忠告を聞かなかったため罰されている。この場面の中央にはサタンの姿があり、その後方には3つの頭を持つ蛇が構えている。
スムビュルル・キリセ(ハヤシンスの教会)はギリシャの影響を受けており、正面入口には蹄鉄をかたどった装飾がされている。


セリメ
ウフララ渓谷一帯でも一番美しい村。渓谷の南端にあるウフララの方がよく知られているため、この村は通り過ぎられることが多い。巨大でずんぐりしたきのこ岩がこの付近には多数あり、ほとんどは教会として使われていた。なかには大聖堂と呼べるほど大きなものもある。村人の中には嬉しそうに映画スター・ウォーズが撮影された場所を教えてくれる人もいる。
この村にはセルージューク朝時代に「セリメ・スルタン」に捧げられた霊廟があることからセリメと呼ばれるようになったという。セリメ・スルタンが誰なのかはわかっていない。

ベリスルマ
小川のせせらぎを聞きながら木陰で食事が取れるレストランがある。このレストランのサチ・カヴルマ(羊料理の一種。鉄板でサーブされる)は結構美味しい。
ベリスルマ付近には11世紀のディレッキリ・キリセ(柱の教会)がある。この教会は長い指をした聖母とキリストを描いた美しいフレスコ画が教会の柱に描かれている。また3つの頭がある竜を退治している聖ゲオルギウスも描かれている。
聖ゲオルギウス教会はベリスルマから約500メートルウフララ村方面に行ったところにある。この教会は13世紀のキリスト教徒首領であり、セルジューク朝メスト2世の軍隊にも属していたバシル・ギアゴウペスによって建てられた。この教会内にある碑文には、セルジューク朝のキリスト教徒に対する寛容さに対する感謝が表されている。鎧とマントををまとい盾を持っている聖ゲオルギウスの両脇には、ギアゴウペスとその妻タマラが教会の模型を聖人に手渡している姿が描かれている。もちろん蛇退治(実際は竜退治)の場面も描かれており、そのそばには「魂の罪を清めたまえ」と書かれている。

ウフララ
セリメやベリスルマに比べてウフララの村は少し発達している。しかし、いまだにバックパッカー専用のペンション以外に宿泊施設はない。この付近には温泉があり、この温泉水を使ったハマムもある。

ギュゼルユルト
ウフララ渓谷に一番近い町。19世紀のキリスト教修道院を改装してできた珍しいホテルがあるほか、アクサライやウフララ方面へのドルムシュも充実している。またこの町ではトレッキングツアーやマウンテンバイクツアーなどが行われている。
ギュゼルユルトの重要なキリスト教共同体は4世紀にビザンツ帝国の聖職者であったナジアンゾスのグレゴリオスによって設立された。ジャーミィ・キリセと地元住民に呼ばれる教会はグレゴリオスに捧げられたもの。オデッサのロシア正教徒からこの教会に寄贈された金の鐘は現在アフィオンの博物館が所蔵しているが、ロシア皇帝ニコライ1世から贈られた木彫りの聖障(イコノスタシス)や椅子は、いまだにこの教会内にある。1923年にギリシャ系住民が住民交換のためこの町を去った後この教会はモスクとなり、鐘塔のかわりにミナーレが取り付けられた。町中には現在も洞窟の家やかつてのギリシャ人住宅に住んでいる人たちがいる。
ギュゼルユルト付近にはまた「修道院の谷」と呼ばれる50を超える教会や修道院施設跡がある。なかにはビザンツ時代に建てられたものもあるが、最も印象的なのは19世紀のユクセッキ・キリセ(高い教会)で、実際に高い岩の上に位置している。

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